インプラント治療は、失ってしまった歯を天然のものと同じように再生できる最新医療として日本でも知られていますが、実は紀元3世紀のローマ時代にはその原型となる治療が始められています。
その後、様々な研究や臨床実験が行われ、人工歯根に使われるチタンと顎の骨の結合技術が飛躍的に進化した1980年頃から海外では一般の治療法として認知されています。
なお、日本におけるインプラント治療はここ20年の間でようやく普及していますから、海外に比べるとやや認知度が低いと言えます。

インプラント治療のメリットは審美性及び耐久性に優れているところです。
インプラントで使用する義歯はセラミックなど、天然の歯に極めて近い材質が使用されていますから、銀歯のように目立つことはありませんし、ブリッジのように他の歯を傷つけることはありません。
メンテナンスをしっかりと行えば10年以上使い続けることも可能です。
また、義歯はアバットメントとフィクスチャーを通じて顎の骨に固定されていますから、ガタつくことがなく、天然の歯と同じように噛む力を維持できるため、美味しく食事ができることも大きなメリットです。

おいしく食事する風景 反対にデメリットとしては、治療期間が6か月~1年と長期間にわたること、また、高血圧や心臓疾患といった循環器系の疾患など特定の病気がある場合は治療できないことです。
フィクスチャーに使用するチタンと粘膜の結合力が弱くなるため、様々な菌に感染しやすい点ですが、定期的なメンテナンスを行っていれば大きな問題とはなりません。

人間の歯は歯冠、歯茎部、歯根で形成されていますが、このすべてを失った場合、インプラント治療は用いられます。
具体的な手順としては、欠損した歯の顎の骨にフィクスチャーと呼ばれる人工歯根を埋め込み、その上にアバットメントと呼ばれる土台を取り付け、義歯を被せることで治療は完了します。
この手順の中で、特に重要になるのがフィクスチャーの装着であり、顎の骨と馴染ませるために術後3か月~6か月は経過を観察し、問題がないことが確認できなければ次の治療を受けることはできません。

インプラント治療を行う上で注意すべき点は、外科手術が必要であることです。
そのため従来の歯医者の技術では対応できないことは当然として、最新医療に対応した設備を有した歯科クリニックでなければ治療することはできません。
そこで大切なのが、歯医者選びになってきますが、一つの基準として日本口腔インプラント学会が認定した専門医を選ぶことです。
この学会は日本で最も権威があり、専門医たちは認定後も研修などを定期的に受講して、インプラント治療の向上に努めていますから、安心して治療を任せることができます。

勘違いしがち!差し歯とは全く違う!

カレンダー インプラント治療とよく似た治療方法としては、差し歯治療が一般的には知られていますが、その治療内容は全く異なります。
インプラント治療が歯根まで失った状態において、顎の骨に人工歯根を埋め込んで義歯を被せるのに対して、差し歯は少なくとも歯根が残っている状態で、そこに金属の土台を埋め込みます。
したがって、インプラント治療が6か月から1年かかるのに対して、差し歯であれば2~3週間の短期間で終えることができます。

義歯に使用する材質についても大きな違いがあり、インプラント治療では高品質なセラミックを使用することから、仕上がりも天然の歯と遜色ありません。
これに対して、保険診療で差し歯を入れる場合、その材質は硬質プラスティックとなることから、経年とともに黄ばみが出てくるなど、審美性の部分で見劣りがします。
また、自由診療では義歯にセラミックを選択することもできますが、インプラントで使用するセラミックとは種類が異なり、両者を比較すると見劣りが否めません。

耐久性と噛み具合では、インプラント治療では顎の骨に義歯を固定しますからガタつくこともなく、天然の歯とほぼ同じ噛み具合となり、丁寧にメンテナンスをすれば10年以上の耐久性も十分に期待できます。
一方、差し歯で使用される義歯には10年以上の耐久性がありますが、土台の部分が弱いためガタつきが生じやすく、噛む力も弱くなります。
また、いくら丁寧に治療しても義歯と天然の歯の間に隙間が生じますから、新たな虫歯や歯周病の原因になることもあります。

インプラント治療では最新の設備と高い技術が必要となりますから、インプラント専門の歯科クリニックでなければ治療を行うことはできません。
一方、差し歯は一般の歯科クリニックで十分治療することが可能であり、特定の病気によって治療が受けられないといった事態になることはありませんので、比較的簡単に治療を依頼することができます。

日本においてインプラント治療は徐々に広まりつつあるものの、未だに差し歯との違いが正確に理解できている人が多いだけではなく、治療には歯医者に高い技術が必要である、メンテナンスが面倒であるといったマイナスイメージ先行しており、一般的な治療だと認識されるまでにはもう少し時間が必要です。
しかしながら、インプラント治療は非常に有効な治療方法であり進化を続けていること、時代の移り変わりとともに確実に差し歯治療を逆転することになるでしょう。

最近の記事
  1. 口を開けた子供

    2018.2.5

    歯並びが悪いことに気付くのは、乳歯から永久歯に生え変わるときが最も多いです。 …

  2. 矯正歯科

    2018.1.5

    永久歯が抜けてしまうと、人間の歯は再生することができないので歯のない状態になって…

  3. 手術

    2017.11.26

    インプラント手術をするなら、インプラント専門医のいる歯科医院を利用するのが得策で…

  4. 紙幣と電卓

    2017.10.24

    歯医者はどこも同じだと考えている人が多いですが、この考え方は間違っています。 …

  5. 入れ歯と聴診器

    2017.9.28

    インプラント治療を希望する患者さんが増えています。 歯を失ってしまうと、今まで…

ページ上部へ戻る